かしまじんぐう
所在地:茨城県鹿嶋市宮中2306-1
工事名称:重要文化財鹿島神宮拝殿ほか3棟保存修理工事(奥宮・拝殿・楼門)工事名称:鹿島神宮楼門廻廊保存修理工事(楼門廻廊・手水舎)
工期:2021年1月~2026年5月(奥宮・拝殿・楼門)工期:2023年5月~2026年5月(楼門廻廊・手水舎)
鹿島神宮は茨城県南東部に位置し、霞ケ浦(北浦)と太平洋(鹿島灘)に挟まれた台地に鎮座しています。御祭神は天孫降臨に貢献した『武甕槌大神(たけみかづちのおおかみ)』をお祀りしています。現在の社殿群は、奥宮を徳川家康公、本殿・石の間・幣殿・拝殿は徳川秀忠公、楼門は水戸初代藩主徳川頼房公により奉納されました。この楼門は日本三大楼門の一つに数えられ、重要文化財に指定されています。鹿島神宮楼門は「三間一戸楼門、入母屋造、銅板葺」の重層で美しい門です。
今回の保存修理工事では、楼門、楼門廻廊、奥宮、拝殿、手水舎と多岐にわたる作業を担当いたしました。楼門は全面の弁柄丹朱塗塗装と金具修理、御扉漆塗、懸魚鰭彩色、隅木下持送り彫刻彩色、欄間彫刻の剥落止め等を施工。特に丹朱塗の色合わせは検討を重ね、手板を何枚も作成し宮司様にご確認いただきながら色を決定しました。楼門と楼門廻廊を合わせると約1800㎡もの面積があり、膨大な量の塗料を使用します。同じ色を手練りで毎日作り続けるのは容易な仕事ではありません。それでも担当した職人は根気強くこの工程に向き合い、色合いを再現しました。旧塗膜の掻き落としも、規模の大きさゆえに連日手作業で向き合う根気のいる工程でした。
楼門廻廊では全面の弁柄丹朱塗塗装に加え、連子枠の漆塗装、連子の緑青塗を行いました。旧塗膜の剥離にあたり、空気と木質チップを混合して吹き付けることで基材を傷めることなく劣化した塗膜を剥離させる工法を採用しました。今後の課題も発見されましたが、伝統技法と最先端の技術を組み合わせられ、貴重な経験になりました。
奥宮本殿では、御扉金具修理と屋根箱棟の黒漆塗装・箱棟金具修理、拝殿の破風板赤漆塗と破風木彫刻の漆箔施工を担当しました。いずれも江戸時代以来の趣を今に伝える大切な部位であり、文化財としての品格を損なうことのないよう、細部まで丁寧に仕上げることを心掛けました。
手水舎も全面的な塗装を行いました。彫刻や欄間に施された彩色の細やかさは境内の入口にふさわしい佇まいです。
詳細は【小西美術工藝社通信Vol.30】にも掲載しております。