芦畦の獅子舞

あしぐろのししまい

所在地:栃木県佐野市並木町花岡

工事名称:芦畦の獅子舞 獅子頭三面新規製作

工期:2011年4月1日~2012年3月19日

漆塗 彩色 錺金具

「芦畦(あしぐろ)の獅子舞」は、栃木県佐野市並木町花岡に約750年前から伝わり、農耕儀礼、無病息災、厄除祈願の為に行われる民俗芸能です。今回は、獅子頭の歯や角など木部の欠損や羽根毛の傷みも著しく、激しい動きに耐えられなくなったため、獅子頭を三面新調することとなりました。

御獅子の面は、力強い木彫が施された桐材部位と和紙を麦漆(漆に小麦粉や糊を混ぜ合わせた漆で、古来の接着剤として陶磁器や漆器の補修などに使用される)にて20層ほど貼り重ねた「乾漆造(かんしつぞう)」で形成されており、獅子頭の施工としては極めて稀な仕様でしたが、従来の工法に基づき作業にあたりました。
乾漆造で頭部を形成していく作業は、仕上がった三面の表情に僅かな違いが生じてしまうため、和紙を1枚貼り重ねる作業にも困難を極めました。また永き歴史を刻み込んだ既存の面は保存し、頭の羽根毛も大変貴重なものであったため、既存の羽根毛を活用いたしました。

羽根毛の交換は、芯が細い羽根は糸を通せないため和紙で巻いてから膠(にかわ)で固め、一本一本の芯に穴を開けて麻紐を通し、羽根が回らないように糸を通す穴を2段作るという工程を約1500本繰り返す、とても細やかな作業の連続となりました。

関係各位の想いの詰まった御獅子の新調。「芦畦(あしぐろ)の獅子舞」の末長い伝承をお祈りします。

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