伊豆山神社

いずさんじんじゃ

所在地:静岡県熱海市伊豆山708-1

工事名称:伊豆山神社 拝殿 向拝、彫刻彩色、錺金具工事

工期:2013年4月20日~2013年7月31日

彩色 錺金具

平成24年の工事から継続している「伊豆山神社」向拝の彫刻彩色、錺金具工事となります。今回の工事では足場を常設し現地作業を進めたことで、多くの方々に、日々色数を増していく姿をご覧いただけきました。

彩色では、前回手を付けていなかった彫刻類を補修しました。なかでも手挟(たばさみ)の内側、籠彫(かごぼり)の雲彫刻2か所には、施工を進める中、象と思しき隠し彫刻が見つかりました(弊社Facebook頁を併せてご覧ください)。籠彫りとは籠のように内部を透かせて立体的に彫り上げる技法で、外側2か所の牡丹彫刻も同様に籠彫りで彫られ、桁隠(けたかくし)の菊と併せて、両側面で阿吽の形式(片側は開き、片側は閉じる)がとられています。虹梁(こうりょう)の波や雲の彫刻までもが躍動感に満ちており、殆ど残っていなかった色が蘇ったことで、彫りの素晴らしさが際立ちました。

錺金具工事は、縋破風(すがるはふ)の八双金具(はっそうかなぐ)、紋章、そして正面の向拝柱4本に取りつく頭巻(かしらまき)、根巻金具(ねまきかなぐ)、また賽銭箱の八双、紋章金具を手掛けました。頭巻、根巻の胡麻幹決り(ごまがらじゃくり)に仕立てられた金具は構成部材が多く、獅子頭、象頭との絡みの部分ではぴったりと彫刻を避けて納まるよう調整され、いかにも手作業の作りです。今回の欠損補足部分もそうでしたが、取り付けられた当時も現地で金具を併せながら調整作業が進められていたのでしょう。

当時の作り手の思いを追体験することが、我々にとっても技術研鑽の大切な糧となっています。

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