愛宕神社

あたごじんじゃ

所在地:宮城県仙台市太白区向山4-17-1

工事名称:愛宕神社 随身像(ずいじんぞう) 保存修理工事

工期:2012年5月~2013年8月

漆塗 錺金具

仙台総鎮守「愛宕神社」は仙台駅から南へ約3.5km。広瀬川に架かる愛宕大橋を越えて、仙台市の西側市街が一望できる高台にあります。青葉山への伊達家築城と同時に、慶長年間に造営され、藩内の安全祈願を行った由緒を持つ社です。

長い石段の参道を登ると神門があり、その両袖に鎮座する2躯の天狗尊像が、今回の修理対象です。江戸時代中期の作と伝えられており、ほぼその当時のお姿でしたが、先の東日本大震災により建物とともに被災したため彫刻の一部が脱落し、全体に亀裂が生じて塗装が大きく剥落していました。
復興に向けたシンボルとして神社様が行う祈念事業であると伺い、取り組んだ修理です。

当初は塗装工事を中心に計画していましたが、寄木細工のような小さな部材を組み合わせて形成されており、それぞれの接着が経年劣化により予想以上に脆弱であったことから、木地の全面的な補修を行いました。

塗装の調査は漆塗、彩色の塗り分けや技法を外観調査し、X線解析調査の結果をもとに顔料を特定しました。調査結果から赤、黄色について漆、彩色の2種類の技法と、弁柄、朱、鉛丹(えんたん)を使い分け、さらに黄土や胡粉などを混ぜて塗られていた部分もあり、多彩で表現豊かな色の使い分けがされていたことが解りました。

全体的に漆下地を布着せ(ぬのきせ)で堅牢に行い、その上に漆塗、彩色を施しました。漆塗は色漆の塗り分けのほか、仙台絞塗、蒔絵が施されており、彩色は尊顔と手の部分のほか、漆塗の衣の上に紋章・鉄線が描かれ、細部にいくつもの技法を盛り込んでいます。

欠失した錺金具は、所蔵の写真と痕跡などから、当時の絵様を復原しました。

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