重要文化財

鹿島神宮

かしまじんぐう

所在地:茨城県鹿嶋市宮中 2306-1

工事名称:鹿島神宮 本殿ほか3棟 塗装、保存修理工事

工期:2012年5月~2014年2月

漆塗 彩色 錺金具

常陸国一之宮として、いにしえより篤く信仰されている「鹿島神宮」。広大な鹿島神宮の樹叢(じゅそう)に繁茂する植物は多種にわたり、南限と北限の植物が同生する貴重な場所として県の天然記念物にも指定されており、清浄な神域が広がります。

北浦に架かる神宮橋をわたると、開けた視界に高さ18.5m、幅22.5mと、水中鳥居として国内最大級の、西の一之鳥居が姿を現します。境内に足を踏み入れ楼門をくぐると、深い森の奥へ奥へと参道が続き、ほどなく、その右手に今回施工した御社殿が現れます。東西に伸びる参道に対し北向きの珍しい配置は、「鬼門降伏」「東征静謐(とうせいせいひつ)」等、北方鎮護の役割があるとも言われています。

工事は、本殿と石の間、拝殿を施工しました。

本殿は、縁板より上の漆は真掻き合わせおよび掻き合わせ塗、縁下は上塗り直し、垂木と縁下は弁柄朱漆塗です。破風や軸、縁上は黒漆、箱棟(はこむね)と勝男木(かつおぎ)・千木(ちぎ)も黒漆塗です。彩色は妻、琵琶板等絵画で、手挟み、蟇股および向拝の木鼻(きばな)は彫刻彩色です。外陣内部は剥落止めを施し、箱棟紋章および八双(はっそう)と脇障子は彫刻に金箔押(漆箔)仕上げで、錺金具は金箔押(漆箔)補修をしました。

石の間は、内部および外部の弁柄朱漆の上塗り直し、化粧裏板の胡粉(ごふん)塗と連子(れんじ)の緑青(ろくしょう)塗を施しました。

拝殿は、高欄および脇障子は黒漆掻き合わせ。建具は外部を上塗り直し、内部は摺り漆です。

拝殿から本殿にかけて徐々に極彩色が増していく様相は、神域に向かって荘厳性を高めています。 また、絢爛豪華なご本殿は御神木の緑に対し鮮やかに映え、威厳溢れる佇まいです。

このページを共有する