重要文化財

丹生都比売神社

にうつひめじんじゃ

所在地:和歌山県伊都郡かつらぎ町上天野230

工事名称:丹生都比売神社 本殿 保存修理に伴う塗装工事

工期:2013年2月~2014年12月

漆塗 彩色 錺金具

「丹生都比売神社」は、のどかな田園風景が広がる天野盆地に鎮座し、1700年以上前に創建されたと伝えられています。四季折々豊かな表情を見せる山里は、初夏に源氏ボタルの乱舞が見られる自然に恵まれた地域です。ご祭神の丹生都比売大神は、天照大御神の御妹神様で、神代に紀ノ川流域の三谷に降臨し、紀州・大和を巡り農耕を広め、天野の地に鎮座しました。また、鎌倉時代には蒙古襲来の際に、大神が先陣を切って向かわれ大風を吹かせたとして、幕府の崇敬がさらに篤くなり、紀伊国一之宮となりました。

丹生都比売大神の御子である高野御子大神は、密教の根本道場の地を求めていた弘法大師の前に、黒と白の犬を連れた狩人に姿を変えて現れ、高野山へと導きました。そして、丹生都比売大神より、神領である高野山を借受け、真言密教の総本山高野山を開きました。高野山とのかかわりが深い丹生都比売神社は、中世には周囲に数多くの堂塔が建てられ、明治の神仏分離まで五十六人の神職と僧侶と楽人・巫女により守られてきました。

工事は、2ヶ年度にかけて本殿4棟・若宮・玉垣・本殿玉垣の鳥居の塗装・錺金具工事を行い、その他本殿に納められている宮殿の清掃も行いました。

工事は特にカビの対応に大変苦慮しました。周辺環境がカビの増殖に非常に適していたこと、塗装の時期や膠着材の選定等が相まって、施工後間もなくカビが発生。程度が重い部分は塗装を掻き落とし、除菌を強化して再塗装を行いました。施工中は常に扇風機を回して塗装環境を改善、除菌の工程数を増やす等、さまざまな対応策を施しました。この課題は今後の維持管理等でも補う必要がありますが、綺麗になった社殿を目の前にし、各関係者の熱意が結果に結びついていると感じています。

このページを共有する